EC・通販事業で送料値上げ

2024年問題で直接的な影響を受けるのはEC・通販事業です。コロナ禍で急速に伸びたEC事業ですが、商品を購入者のもとに運ぶのは運送事業者です。EC・通販事業は「送料無料」で消費者に訴求してきました。

しかし、これは消費者の運送コストの軽視につながっているとトラック協会は主張しています。2024年問題でトラックドライバーが減少したり、ドライバー一人当たりの労働時間が減れば、無料での配送は困難となるでしょう。

そのため、「送料無料」で顧客を拡大してきたEC・通販事業は送料を自社で負担するか、消費者に負担を求めるかの選択を迫られるでしょう。

製造業などで輸送コストが増大

輸送コストの増大は製造業や卸売業にも大きな影響を及ぼします。原材料を運び込んだり、製品を出荷したりするときにトラックを活用する機会が多々あります。自社で運送手段を確保していない限り、輸送は運送事業者に依頼することになります。

しかし、ドライバーの確保や待遇改善をしなければならない運送事業者は輸送量の値上げを求めてくる可能性が高いです。

実際、東京商工リサーチが実施したアンケートで、食料品製造業の86.8%、パルプ・紙・紙加工品製造業で84.0%の企業がマイナスの影響が出ると答えています。これらの企業は利益率の悪化だけではなく、稼働率の低下や納品スケジュールへの悪影響についても懸念しているようです。

参考:東京商工リサーチ

小売業の配送サービスが低下

ネット通販以外でも、配送を行っている小売業者がいます。これらの事業者は店舗のサービスに付加価値をつけるため、「即日配送」「翌日配送」「時間指定配送」などのサービスを行っていました。

しかし、これらのサービスを行うには請け負ってくれる運送会社の存在が必須です。運送会社が自社の利益確保や社員の待遇改善のため要請する値上げに応じなければ、こうしたサービスの維持が難しくなるかもしれません。