長年続いてきた低賃金・長時間労働

物流業界には長年、低賃金・長時間労働という課題がありました。国土交通省の「自動車運送事業の働き方改革について」によれば、労働時間は全職業の平均よりも約1~2割長く、年間賃金が1~3割ほど低いと指摘されています。

時間外労働の問題も指摘されています。大型トラックであれば312時間の時間外労働、中小型トラックでも228時間の時間外労働が発生しています。

参考:国土交通省

トラックドライバーの高齢化と人材不足

トラックドライバーの高齢化も大きな問題です。全職業の平均年齢は42.2歳であるのに対し、中小型トラックは45.4歳、大型トラックに至っては47.5歳となっています。これを見れば、トラックドライバーが他の業種よりも深刻な高齢化に見舞われていることがわかります。

人手不足も深刻です。平成21年以降、多くの業種で有効求人倍率が上昇しました。中でも求職者数が多いのはトラックドライバーを含む自動車運転の求人です。他の事業者の有効求人倍率と比べると2倍近くの求人倍率となっており、深刻な人手不足に見舞われていることがわかります。

参考:国土交通省

増加し続ける物流量

近年、ネット通販などの利用が拡大したことにより宅配便の利用が増加しています。2014年以降、宅配便の取り扱い個数は増加し続けています。平成30年度以降の直近5年間で比較しても増加傾向に変わりありません。

インターネットを使った商品購入が急激に減少するとは考えにくく、物流量は横ばいまたは増加する可能性は否定できません。こうした状況が続けば、配送料の値上げや再配達の有料化など消費者が運送コストを支払わなければらない状態になるかもしれません。

参考:国土交通省