病院処方の鉄剤と鉄分サプリの違い|どちらを選ぶべき?
鉄分を補う方法には、市販のサプリメントのほかに病院で処方される「鉄剤」があります。この2つは同じ「鉄分を補う」目的でも、中身や位置づけが大きく異なります。違いをきちんと理解したうえで、自分に合った方法を選びましょう。
| 比較項目 | 市販サプリメント | 病院処方の鉄剤 |
|---|---|---|
| 鉄の種類 | ヘム鉄、非ヘム鉄、フェリチン鉄 | ほぼ全て非ヘム鉄 |
| 1日の鉄含有量 | 5〜15mg | 50〜200mg |
| 保険適用 | なし(全額自費) | あり(1〜3割負担) |
| 副作用の頻度 | 少ない | 約20%に出現 |
| 主な副作用 | 軽度の胃不快感 | 吐き気、食欲不振、便秘、下痢 |
| 入手方法 | ドラッグストア、通販 | 医師の処方箋が必要 |
| 位置づけ | 食品(健康食品) | 医薬品 |
処方薬の鉄含有量が多い分、副作用も出やすくなります。約20%の方に吐き気、食欲不振、便秘、下痢などの消化器症状が現れるとされています。そのため、経口摂取が難しい場合は静脈注射による鉄剤投与(フェジン注射など)が選択されることもあります。
サプリと処方薬、どちらを選ぶ?
目安としては、以下のように考えるとよいでしょう。
- 軽度の鉄分不足(予防目的、軽い倦怠感):市販サプリで対応可能。食事改善と併用するのがベスト
- 中等度〜重度の鉄欠乏性貧血(ヘモグロビン値が低い):病院を受診し、医師の判断で処方薬を使用。血液検査で正確な状態を把握したうえで治療を進める
自己判断でサプリだけに頼り続けるのは、状態が重い場合にはかえって回復を遅らせることがあります。サプリを3ヶ月以上続けても症状が改善しない場合は、迷わず医療機関を受診してください。
サプリだけに頼らない!食事改善との両立が鉄分補給のカギ
繰り返しになりますが、鉄分サプリはあくまで「補助」です。体が鉄分を効率よく利用するためには、日々の食事からバランスよく栄養を摂ることが基盤になります。サプリを飲んでいるからといって食生活をおろそかにしていると、せっかくのサプリの効果も十分に発揮されません。
日常の食事に取り入れたい鉄分食品
| 種類 | 食品例 | 鉄分含有量(100gあたり) |
|---|---|---|
| ヘム鉄 | 豚レバー | 13.0mg |
| ヘム鉄 | 鶏レバー | 9.0mg |
| ヘム鉄 | 牛赤身肉 | 2.8mg |
| ヘム鉄 | カツオ | 1.9mg |
| ヘム鉄 | マグロ(赤身) | 1.1mg |
| 非ヘム鉄 | 小松菜 | 2.8mg |
| 非ヘム鉄 | ほうれん草 | 2.0mg |
| 非ヘム鉄 | 納豆 | 3.3mg |
| 非ヘム鉄 | 木綿豆腐 | 1.5mg |
| 非ヘム鉄 | ひじき(乾燥) | 6.2mg |
吸収率を上げる食べ合わせの工夫
- ヘム鉄食品 + ビタミンC食品:例えばレバニラ炒めにレモンを搾る、カツオのたたきにポン酢を使うなど。ビタミンCが鉄の吸収を強力にサポートします
- 非ヘム鉄食品 + 動物性たんぱく質:ほうれん草のソテーにベーコンを加える、納豆ご飯に卵をプラスするなど。動物性たんぱく質が非ヘム鉄の吸収を促進します
- 食後すぐのコーヒー・お茶は控える:食事で摂った鉄分の吸収を妨げるタンニンを避けるために、食後30分〜1時間は間隔を空けましょう
毎日完璧な食事を目指す必要はありませんが、「レバーを週1〜2回取り入れる」「小松菜や納豆を常備する」「ビタミンCを意識する」といった小さな工夫の積み重ねが、サプリとの相乗効果を生み出します。
こんな時は病院へ!医師に相談すべきケース
鉄分サプリは手軽に始められるのが魅力ですが、すべてのケースにサプリだけで対応できるわけではありません。以下に該当する場合は、自己判断を避けて早めに医療機関を受診しましょう。
- サプリを3ヶ月以上続けても症状が改善しない:鉄分不足以外の原因(ビタミンB12欠乏、慢性疾患による貧血など)が隠れている可能性があります
- 症状が悪化している:倦怠感がひどくなる、動悸が強くなるなど、サプリを飲んでいるにもかかわらず症状が進行する場合は、すぐに受診してください
- 妊娠中・妊活中の方:胎児への影響を考慮し、サプリの種類や量は必ず産婦人科医と相談して決めてください
- 持病がある方:肝臓病、腎臓病、消化器疾患をお持ちの方は、鉄分の代謝に影響が出る場合があります。必ず主治医に相談してください
- 子どもへの投与を検討している場合:子ども用の製品であっても、年齢や体重に応じた適切な量を医師や薬剤師に確認することをおすすめします
血液検査で確認したい数値
| 検査項目 | 基準値の目安 | 見るべきポイント |
|---|---|---|
| ヘモグロビン(Hb) | 女性 12.0g/dL以上、男性 13.0g/dL以上 | 貧血の有無を判定する最も基本的な指標 |
| 血清フェリチン | 25ng/mL以上が理想(12未満で鉄欠乏) | 体内の鉄の「備蓄量」を示す。ヘモグロビンが正常でもフェリチンが低ければ「隠れ鉄欠乏」 |
| 血清鉄(Fe) | 60〜160μg/dL | 血液中の鉄の量。変動が大きいため単独では判断しにくい |
| TIBC(総鉄結合能) | 250〜370μg/dL | 鉄を運ぶたんぱく質の量。鉄欠乏時に上昇する |
とくに注目していただきたいのが「血清フェリチン」の値です。ヘモグロビン値が正常範囲内でもフェリチンが低い場合は「隠れ鉄欠乏(潜在性鉄欠乏)」と呼ばれ、倦怠感や集中力低下などの症状が出ることがあります。一般的な健康診断ではフェリチンまで測定しないことが多いので、気になる方は医師にフェリチンの測定を依頼してみてください。
まとめ:自分に合った鉄分サプリで、無理なく健康をサポートしよう
鉄分サプリ選びで大切なのは、「自分に合ったタイプを見極めること」「正しい飲み方で続けること」「サプリだけに頼りすぎないこと」の3点です。
ヘム鉄・非ヘム鉄・フェリチン鉄の3種類にはそれぞれ特徴があり、吸収率・胃腸への負担・価格帯が異なります。自分の体質や目的に合ったものを選びましょう。選び方のポイントは「鉄の種類」「含有量」「付加栄養素」「安全性」の4つです。
効果が現れるまでには最低3ヶ月、理想は6ヶ月の継続が必要です。食後に水で飲む、タンニン含有飲料との間隔を空けるなど、正しい飲み方を守ることで吸収率を最大限に高められます。
そして何より大切なのは、サプリはあくまで「補助」であるという視点です。日々の食事から鉄分を摂る努力を続け、サプリと食事の両輪で鉄分不足に向き合いましょう。3ヶ月以上続けても改善が見られない場合や、持病がある方は迷わず医療機関を受診してください。正しい知識と適切な方法で、鉄分不足のない快適な毎日を手に入れましょう。
