鉄分の多い食べ物の効果を最大化する吸収アップ術

せっかく鉄分の多い食べ物を選んでも、食べ方次第で吸収率は大きく変わります。ここからは、鉄分を効率よく体に取り込むための「食べ合わせ」の知識を詳しく解説していきます。ほんの少しの工夫で吸収率が何倍にもなることがあるので、ぜひ毎日の食事に取り入れてみてください。

鉄分の吸収率を上げる3つの栄養素

鉄分の吸収を助けてくれる栄養素は、主に3つあります。この「吸収率アップの3原則」を覚えておけば、食事の組み合わせが格段に上手くなります。

1. ビタミンC

ビタミンCには、非ヘム鉄を体が吸収しやすい形(二価鉄)に変換する働きがあります。植物性食品の鉄分は吸収されにくいと説明しましたが、ビタミンCと一緒に摂ることで、吸収率を最大6倍にまで引き上げられるという研究結果もあります。

ビタミンCが豊富な食品の例を挙げると、赤パプリカ(170mg/100g)、ブロッコリー(140mg/100g)、キウイフルーツ(71mg/100g)、いちご(62mg/100g)、レモン果汁(50mg/100g)などがあります。食後のフルーツや、サラダにレモンドレッシングをかけるだけでも効果的です。

2. たんぱく質

肉・魚・卵などに含まれる動物性たんぱく質には、「ミートファクター(MFP)」と呼ばれる鉄分吸収促進効果があります。動物性たんぱく質と一緒に非ヘム鉄を摂ると、吸収率が高まることが確認されています。たとえば、ほうれん草のおひたしに鰹節をたっぷりかけたり、小松菜と豚肉を一緒に炒めたりするのは、理にかなった食べ合わせです。

3. クエン酸

クエン酸には、鉄分と結合して「キレート」という吸収されやすい化合物を作る性質があります。酢の物、梅干し、柑橘類のしぼり汁などを鉄分の多い食事に添えてみてください。たとえば、あさりの酒蒸しにレモンをしぼる、ひじきの煮物に酢を少し加えるといった工夫です。

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栄養素働きおすすめの食べ合わせ例
ビタミンC非ヘム鉄を吸収しやすい形に変換小松菜のおひたし+いちご、納豆ご飯+オレンジジュース
たんぱく質ミートファクターで非ヘム鉄の吸収を促進ほうれん草+鰹節、ひじき煮+鶏肉
クエン酸鉄とキレートを形成し吸収を助けるあさり酒蒸し+レモン、鉄分食品+酢の物

この3つの栄養素は、それぞれ単独でも効果がありますが、組み合わせるとさらに効果的です。「鉄分の多い食品+ビタミンC+たんぱく質」が揃う食事を意識してみましょう。

要注意!鉄分の吸収を妨げる食品と成分

鉄分の吸収を助ける栄養素がある一方で、逆に吸収を妨げる成分もあります。せっかく鉄分たっぷりの食事を摂っても、これらを同時に大量に摂ると効果が半減してしまうことがあるのです。

タンニンは、緑茶・紅茶・コーヒー・ウーロン茶に多く含まれるポリフェノールの一種です。鉄分と結合して不溶性の化合物になるため、腸からの吸収が低下します。食事中や食直後にこれらの飲み物を大量に飲むのは避けたいところです。食事の前後30分〜1時間は間隔をあけるのが理想的ですが、あまり神経質になりすぎる必要はありません。適度な量であれば大きな影響はないとされています。

フィチン酸は、玄米・全粒穀物・大豆などに含まれる成分です。鉄分やカルシウムなどのミネラルと結合して吸収を抑制します。ただし、大豆は鉄分そのものも豊富に含んでいるため、「大豆製品を避けるべき」というわけではありません。ビタミンCなどの吸収促進成分と組み合わせることで、フィチン酸の阻害効果を軽減できます。

シュウ酸は、ほうれん草・たけのこ・チョコレートなどに含まれます。シュウ酸が多いほうれん草は、茹でてから水にさらすことでシュウ酸の大部分を除去できます。生食用のサラダほうれん草は品種改良によりシュウ酸が少なめなので、サラダで食べたい場合はそちらを選ぶのもひとつの方法です。

リン酸塩は、加工食品やインスタント食品に添加物として広く使われている成分です。ハムやソーセージ、カップ麺、清涼飲料水などに含まれており、鉄分だけでなくカルシウムの吸収も阻害します。加工食品に偏った食生活は、鉄分不足を悪化させる原因になりかねません。

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阻害成分多く含む食品・飲み物対策
タンニン緑茶、紅茶、コーヒー食事中は水や麦茶に置き換える
フィチン酸玄米、大豆、ナッツ類ビタミンCと一緒に摂る
シュウ酸ほうれん草、たけのこ茹でて水にさらす
リン酸塩加工食品、インスタント食品加工食品を食べすぎない

鉄鍋・鉄フライパンで調理するだけで鉄分アップ

調理器具そのものから鉄分を摂取する方法もあります。鉄鍋や鉄フライパンで料理をすると、調理中に食材に微量の鉄分が溶け出すことが分かっています。特に、酸性の食材を使った料理で効果が高くなります。

たとえば、トマト煮込み、酢豚、酢の物、ケチャップ炒めなどを鉄鍋で調理すると、酸の作用で鉄の溶出量が増加します。ある研究では、鉄鍋でトマトソースを20分間調理した場合、ステンレス鍋で調理した場合に比べて鉄分含有量が大幅に増加したというデータもあります。

鉄鍋は使い始めの手入れに少し手間がかかりますが、一度シーズニング(油ならし)をしてしまえば、使い込むほどに焦げ付きにくくなり、半永久的に使えます。毎日の料理に鉄製の調理器具を取り入れるだけで、自然と鉄分の摂取量を底上げできるのは大きなメリットです。

貧血予防のための食事の基本ルール

最後に、貧血予防のために意識したい食事の基本ルールをまとめます。

1日3食をきちんと食べることが大前提です。朝食を抜いたり、ダイエットで極端に食事量を減らしたりすると、それだけで鉄分の摂取量が不足します。特に朝食は「前日の夕食からの空腹時間を終わらせる」大切な食事ですので、簡単なものでも必ず口にする習慣をつけましょう。

偏食を避けることも重要です。肉・魚・大豆製品・野菜・海藻をバランスよく食べることで、ヘム鉄と非ヘム鉄の両方を確保できるうえ、ビタミンCやたんぱく質などの吸収促進成分も自然と摂取できます。

インスタント食品や加工食品に頼りすぎないようにしましょう。前述のとおり、加工食品に含まれるリン酸塩は鉄分の吸収を妨げます。忙しい日は仕方ありませんが、できるだけ自炊の回数を増やし、新鮮な食材を使った食事を心がけてください。

そして、鉄分は一度にたくさん摂るよりも、毎食少しずつ分散して摂るほうが効率的に吸収されます。1食だけで推奨量を満たそうとするのではなく、朝・昼・夕の各食事で鉄分を意識した食品を1〜2品ずつ取り入れるのが理想的です。


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